第3章
予選通知がやってきた!


−−−−ハガキの抽選だけで出られると思ったら大間違い!
ちゃんと予選があって、ふるいにかけられるのだ。

これが予選通知だ

 苦労してハガキを書いて、出して、見事当選し、予選通知が届いたときはなんとも嬉しいもの。ぼくが初めて手にしたのはクイズグランプリの通知だったが、第一印象は「世の中にはこんなものがあるのか」だった。そして心は早くもヨーロッパ、ではなく、それを通り越し、緊張と興奮のあまりドキドキブルブルしてきたのを覚えている。まだ予選を受けたわけでなく、ましてや出場して優勝したわけでもないのに、なんともおめでたい。これは宝くじを勝っただけで1等が当たった気分になるのと同じなのであろう。
 さて、クイズを始めた76年9月より、大事に保存してある予選通知の一部をお目にかけます。こんなものですが、ドキドキする?

予選はこんな方法で

 予選はおおむねアンケートと筆記試験、面接が行なわれる。どんな人かもわからない人たちを、TVに出したのでは、お葬式の中継みたいな、シーンとしらけた番組になったり、せっかく作った問題に、不正解ばかり出てしまうかもしれない。あるいはアップダウンクイズで全員が二問不正解の“お出”になったら困る。番組中で突然アジ演説でも始められたら放送中止になってしまう。そんなふうになるとたいへん。
 すなわち予選とは、その番組にふさわしい、視聴者に喜んでもらえる人を選ぶのが目的なのだ。誰もが点の低い低調なものや、圧倒的に一人が答えまくる試合はこびはあまりおもしろくない。そのかわり、どの問題にも誰かしらが答え、抜きつ抜かれつの白熱戦になったらこんなにおもしろいものはない。また、イイ男やカワイ子ちゃんが出ると、茶の間ではつい応援したくなるものだ。このように、楽しくTVが見られるように、人を選ぶのが予選だ。なにしろ、クイズ番組の主役は、出場者なのだから。

 さて、あなたのハガキが見事拾われたら、予選通知ハガキが来る(P53参照)。だいたい予選日の1〜3週間前である。一部の番組では電話でお知らせがある。また、始まったばかりで、予選会を開くほどの応募がない番組なら、電話で局に呼ばれて、予選もなしで即本番と、スピード出場できることもある。
 予選日まで、いくらか日数があるはずだから、それなりの準備をしておこう。番組をいつもより熱心に見る。他のクイズも見る。新聞・雑誌を読む。クイズの本を開く。面接では何を話そうかと考えておく……。
 予選日は、土曜日曜祝日のような、休日が多いので、たいていの人は参加できるはず。
 当日は時間に遅れないように行くのは当たり前だ。大学入試だと前日に試験会場の下見をするのがよいが、それほど大げさなものではないので、その必要はない。でも、余裕を持って出かければ、心のゆとりも生まれるというものだ。予選通知ハガキは通行手形を兼ねているからもちろんのこと、筆記用具(ボールペンでよい)も持っていこう。
 予選会場はTV局の会議室やリハーサル室、あるいは近くの建物だったりする。開始時間を待っている人を見ると、クイズの本を読んで直前まで勉強している人、新聞・雑誌をなにくわぬ顔で読んでいながら、内心この記事が問題に出ないかとハラハラしている人、つきそいの友人と雑談する人など、さまざま。いずれ敵になるとはいえ、同じ趣味の持主なのだから、気楽にまわりの人に声をかけてみると緊張がほぐれるし、楽しいものだ。クイズの話になると、誰も示し合わせたように
「私なんてダメです」となるのがおかしい。
「では、そろそろ始めますか」
 係の声にざわついていた場内はシンと静まり返る。最初に番組のルールや、予選方法の説明があるのでよく聞いておこう。
「大学入試や就職試験とは違いますから気楽に……」
とは言われてもなかなかムリな話。冗談を言って笑わせてくれる局もあれば、番組はなごやかな雰囲気なのに、予選の説明をするスタッフはシビアな局もある。つくづくTVは裏表がおもしろいと思う。
 予選は30〜百人が一度に受けるが、要は自分が出場者としてスタッフに認められればいいのだから、何人いても気にしない。マイペースで臨もうではないか。欠席者が多ければ、つきそいの人にも受けさせてくれることもある。ずうずうしい人になると、
「席が空いてるなら受けさせて」
と、スタッフに頼む人もいる。何度ハガキを出しても拾われない人は、直接予選会へ行くのも一つの手かもしれない。
 では、実際にアンケート用紙に書き込んでみましょうか。


アンケートも点のうち

 アンケートというよりは身上書で、出場者構成を決めるにあたり、大いに参考にする。男女、年令、地区、趣味、特技などから、毎回どんな人たちの組合せにするか決めるのだ。

アンケート用紙の例(実際は図示)
氏名(ふりがな)、性別、年令、結婚(未婚・既婚)
住所(ふりがな)、電話番号、生年月日
勤務先、電話番号
趣味、特技
家族構成、好きなタレント
賞金の使い方、出場不可能な日
他のクイズ番組の出場経験と結果、よくみるTV
応募動機、得意なジャンル
自己紹介、キャッチフレーズ、セールスポイント、
最近の自分のまわりでのエピソードなど。


 まず『連絡先』は正確に。せっかく合格しても連絡不能では話にならないのでちゃんと書く。アパートや下宿の人は部屋番号までキチンと。出場決定の知らせは電話でくることもある。呼び出しでもいいから電話番号も書いておこう。一人暮らしの人などは、勤務先に電話してもらってもいいだろう。逆に会社に知れては困る人は、その旨書いておけばいい。要は確実な連絡先が絶対必要なのだ。

 『年令・生年月日』は出場者の年令構成を決める上で必要。でも「アタシ近所では28歳でとおしてるのに……」ナンテ心配な人は気楽にサバを読んでください。TVを見ていて年令がわかるのは、なぜか主婦向けの構成になっているスーパーダイスQくらいなもの。
 『未婚・既婚』は特に問題ないと思うのだが、あるクイズで
「ぼくは女房以外に女がいて、そいつには独身と言ってあるんだけど“独身”で出たなら女房に何と言われるかわからないし、“所帯持ち”で出たなら女がだまっていない……」
と悩んでいる人がいた。アンケート用紙の全部が放送されるわけでなく、局も悪いようにはしないので、ひとこと頼もう。

 『勤務先』は単に会社員、公務員、自営などと書かず、○○不動産地域開発部、大蔵省主計局、八百屋、のように仕事の内容が具体的にわかるように書くといい。かわった職業−−たとえば馬具製造業、ワイン鑑定士など−−の人は珍しさが買われて出場できることも充分ある。
 『趣味・特技』は“特にナシ”なんてつまらん人はマズ出場はムリ。“ゴルフ、麻雀”もありきたり。なるべくユニークな人がおもしろいなあ。若いのに盆栽とか、年配なのにニューミュージックファン、逆立ちしてジュースが飲めるとか、誰かのモノマネとか……。しかしあんまりユニークなのはクイズでなく、奇人変人大会やゴングショーから声がかかってしまうかもしれないし、実演させられるハメになることもあるのでウソは書かないこと。あるスタッフは「読書が趣味」と書かれるのが一番困ると話していた。少し具体的に「井上靖のファン」「推理小説マニア」「本なら手当たりしだい何でも」のように、書き込んで欲しいとのこと。他の趣味でも「ゴルフを始めたばかり。ハーフ70を切れず絶望的」のように、具体的に書くとよい。

 『好きなタレント』に当のクイズの司会者、『よく見るTV』にその局の番組を書いても予選通過のゴマスリ効果はない。むしろ出場したら、書いたタレントや番組に関係する問題が出ることがある。スタッフは、出場してもらったからには答えて欲しいのだから、正直に書いた方がいいと思う。

 『家族構成』は双子がいるとか、四代そろっている大家族とか、珍しい人はぜひそのPRを忘れずに。それがプラスになる。

 難しいのは『他のクイズ番組の出場経験と結果』だ(そのクイズ番組の過去の経験のみ問う番組もある)。自分の経験や他のクイズマニアの話を総合してみると、クイズにたくさん出ている人は敬遠されがちで、バカ正直に書くとバカを見るはめになる。
 結果がよかろうが悪かろうが、たくさん出ている人はクイズ荒らしと見られるのか、公共の電波で特定の人ばかり出すわけにはいかないのか、マジメに書くと損をする。
 ぼくは、クイズを始めたころは当然出た番組が少ないので正直に書けたが、凝り出して、あちこち出だすと書かないのも悪いし、書いて落とされるのもイヤで、ほんとにこの欄だけは悩まされた。
 アップダウンクイズは79年10月にこの本の取材で訪れたときに、
「同じ人が続けて出るのはまずいので出場を遅らせてもらうときもあるが、うちはヨソに出ているから落とすということはありません。予選の点が同点で、一方の人がパネルクイズアタック25やクイズタイムショックなどに出てるなら、こっちの人を採りますワ。その方が番組がおもしろくなる」
とのお話をいただいた。アップダウンクイズは出場経験がプラスになるらしい。
 ある人の話によると、永くクイズをやりたければ、目立たずにパラパラと出て、そう活躍もせず適当に勝ち「細く長く」がいいとのこと。同感である。目立つ人はハンサム、美女に多いらしく、勝ってもちっとも目立たぬ人もいるそうな。
 あるTVドラマのディレクターで、以前クイズ番組(すでに終了)を作っていた方を知っている。その番組では、経験者ははずしていたという話をはっきり聞いた。たくさん出たい方は、この欄を書くときは神経を使ってください。予選会では「これによって落とすことはありませんから、安心して書いてください」とスタッフは言うけれど……。
 一、二度出る人はかなりいるから一回や二回出ているだけで落とす番組もあるまいと思うが、過去に出た番組について、
「いつ頃出られたんですか」
と面接で聞かれるだろう。これは同じ人が続けてTVに出るのを防ぐためで「一週間前に」などと答えると、たとえ合格しても出場は遅れる。二ヵ月ごとに予選をするような、回転の早い番組なら「今回は遠慮してください(早い話が不合格)」となりかねない。そういう点も頭に入れて答えよう。事実、ぼくは「一週間前に」と正直に答えて落とされた経験を持っている。
 昼間パネルクイズアタック25に出て、その夜アップダウンクイズに出た奥さんを知っているが、こんなに極端でなくても、一週間前にAクイズに出ていた人がBクイズに出てる、なんてことはよくある。そうすると、
「オレはハガキを百枚も出したのに一つも当たらない。なんでアイツばかり出すんだ」という抗議がTV局にくるらしい。それはハガキの出し方の悪い人の逆恨みとしても、出場はほどほどにするのが一番良かろう。
もう一つ、『得意なジャンル』も正直に書くべきか悩む欄。つまり、かえって自分の不得意なジャンルの問題を出されやしないかと、ヘンな勘繰りが働くのだ。TVはそんなことはナイというけれど、そんな言葉にはごまかされない、とまったく逆を書く人もいる。
 筆記試験でだいたい得意不得意はつかめるし、不得意分野でも問題によってわかる時があるから、ぼくはちゃんと書くけれど、皆さんはどう書きますか。

 『自己紹介、他』はこれこそ腕のみせどころで、ここをいかに楽しく、おもしろく、個性的に、情熱込めて書くかで、勝負は決まる。この欄は人それぞれ内容が違うだろうが、趣味や仕事、学校のこと、自分の性格や家庭での出来事、将来の夢や人生を振り返って感じたこと、旅先でのエピソード、自分のPRなどなんでもいい。大いに書いてください。どの番組でも問われるので、前もって考えておくとよい。

 さて、どうやらアンケートも書き終わりました。次はいよいよ予選問題にはいりまーす。




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