事前の勉強法
クイズに出場する人の中に「雑学博士」と称して出てくる人がときどきいらっしゃる。多少のはったりはあるにしろ、わざわざアンケート用紙にそう書くからには、雑学に対して少なからぬ自信がおありなのだろう。会社や家庭で物知りで通っているのだと思う。
ところがこの「雑学博士」たち、クイズができた試しがない。だれも皆、中程度、あるいはそれ以下の成績なのだ。「雑学博士」と自称したわりにはでき悪く、番組を見た会社の同僚などからバカにされはしないだろうかと、人ごとながら心配だ。だから最近は「雑学博士」と称する出場者は応援しない。してもムダだから(ムゴイね)。
どうも自称雑学博士はクイズに弱いようだ。その理由は、自称雑学博士はマユツバ物であることと、雑学(種々雑多な方面にわたる研究。専門でない学問)とクイズは別モノの気がする。つまり雑学でなくクイズ学があるのだろう。たとえば、
「県名に使われている数字が一番大きいのは何県?」
これに即座に答えられるのがクイズ学者。県名をいろいろ思い浮かべて「千葉県」と答えるのが雑学者だ。
その点クイズ学者は
「京都府!」
と、盲点をうまくかわして答える。京都に使われている文字の京(けい)とは、兆のさらに上の数字の単位で、この単位が実際に使われることは天文学の世界でも普通は有り得ない。
だいたい県名にどんな字が使われているかなどという点について、学校で教えるワケもなく、さして深く考えるまでもなく、県名は地方自治体という大きな事柄でしかとらえない。しかしクイズ学者は県名を“記号”ともとらえるのだ。さらには、数字の単位を万・億・兆から京・孩……と、まるで教典を唱えるように覚えているのがクイズ学者なのである。
クイズに出て、ある程度以上の成績を挙げようとするなら「クイズの勉強」は必要不可欠である。単に知識を増やすだけでなく、前述したような「クイズ的思考」もいるし、実戦にあたっては「ボタン押し」テクニックも大事だ。それらが総合されてこそ、スーパークイズマンになれるのである。
大学の先生などは、
「クイズの知識は断片的な、デジタルの知識にすぎず、キワものだ。本来あるべき知識はアナログなものだ」
などと、批判するかもしれない。しかし、クイズは、麻雀が牌を使ったゲームであるのと同じような、知識を使ったゲームであると考えて欲しい。しかも麻雀牌は麻雀牌としか使いようもないが、知識はたとえそれが断片的なものであるにしろ、種々利用できる。断片的知識だって、まとまれば一つの体系を創り出せるのだ。
ここに紹介する方法は、ぼくのやり方だからあくまで参考にして、皆さんなりの勉強法を見つけ、知識とテクニックを深めてください。
1、とにかく見てみよう
見てもない番組に出るなんてもってのほかだ。局に対して失礼だし、第一、ルールも勝手もわからない。新番組や特別番組ならともかく、極力毎回見るべきだ。
クイズに出る出ないなんて勝手だし、最初から出るつもりで見る人はいまい。なんとはなしに見ていて、そのうちおもしろくなり「よし、オレも……」となるのであろう。
だから最初のうちは、力を入れて見なくてもいい。ごろ寝しながら、食事をしながら、なんとなく見て、その番組に興味を持つことだ。
2、熱心に見よう
次に動機はいろいろあるだろうが、出場しようと決めたら、ハガキを一枚でいいから出そう。そして今度は、番組を熱心に見るようにしよう。
まず、よく見ることによって、番組をより深く知り、親しみを持つようになる。親しみを持つのと持たないのとでは、スタジオへ入った際、友人の家へ遊びに行くのと、はじめて会った取引先の役員の家へ行くくらいの違いがある。毎回欠かさず見て(どうしても見られない場合は録音・録画しておく)、その番組のファンになろう。
3、ルールを覚えよう
そしてルールを覚えよう。どの番組も単純に問題に答えるだけでなく、どこかひとひねりしてある。アタックチャンス、ラッキークイズ、チャンスカード、ドンマーク……これらの言葉は、各番組で用いているルール上の言葉だが、「なんですか、それ」と言ってるようでは、出ても優勝はおぼつかない。
出場前の打合せのときに、スタッフが詳しくルールを説明してくれるが、これを聞いてはじめて「なるほど、そうなっていたのか」なんて感心するようではダメ。他人にも説明できるほど、ルール(進行手順)をよく覚えておくことだ。
4、傾向をつかもう
そうして熱心に見ていると、クイズ問題の傾向や、司会者、出題ナレーターのクセなどがわかってくる。問題傾向とは、たとえば、時事問題が多い。逆に少ない。野球の問題が多い。バスケットやアメフト、ボートレースなどのや一般的でないスポーツの問題もよく出る。第○問は必ず音楽の問題だ。ヤマカンで答えるような問題が多い。問題文が長いなど、いろいろある。司会者、ナレーターのクセ(実際はディレクターなどの指示によるものも多いのだろうが)とは、判定が甘い。逆に厳しい。女性には甘い。長々と余計なおしゃべりをする=出題数が減る。「……ですが」「では」など、問題のポイントになると語調がかわるなどなど、である。そのほか、出場者に美人が多い。逆に少ない。年配者が多い。逆に少ない。たんたんとした雰囲気。アットホームな雰囲気。進行がうまい。逆にヘタ。ワンパターン。演出臭が強い。アシスタントガールがかわいい。アシスタントガールの頭が悪そう……など、クイズと直接関係のないモロモロのことまでもがわかってくる。むしろ本にするなら、こっちの方をあれこれ書いてほうがオモシロイ気がする……。
問題傾向などがわかってくると、しめたもので、事前にマトを絞った下調べができるようになる。
また、問題文の長短などがわかってくれば、ボタン押しのタイミングなどがつかめてくる。ブラウン管の裏側まで見えるくらいに、じっくり見よう。
5、ボタン押しの練習をしよう
そして忘れてはならないのが、TVと一緒に問題をやってみることである。答えを口に出しながら見ている人は多いし、それがクイズ番組の楽しみでもあるのだが、出る以上は真剣になって、TVと共にボタンを押してクイズをするべきだ。バカバカしいかもしれないが、マニアはみんなやっている。詳しくはP125の「早押しクイズの対抗法」に書いたが、ボタンに見立てた机なり、膝なりを、答えがわかった時点でポンと叩く。実戦ではボタンを押して解答権を得ないと答えられないのですよ。
6、スコアをつけよう
机を叩いてボタン押しの練習をするのもいいけれど、何問できて、何問間違えたかわからないと、実戦に即した練習をしたことにはならない。クイズに出場すれば、単にできたできないではなく、難点とれたかが重要になる。そこで、机ボタンを叩きつつ「どの問題に答え」「どの問題に間違え」「どの問題をTVに先取りされ」「どの問題を答えられなかったか」などをノートに克明にメモしよう。ぼくのスコアの付け方はP129に示したとおり。
スコアをつける利点は、たとえば、アップダウンクイズは1問間違えるとフリダシに戻る。スコアをつけながら見ると、間違わずに10問答えるのがいかに難しいかわかる。6問くらい答えたら、おのずとむやみやたらにボタンを押さないほうがいいとわかるし、はじめの1〜11問目は普通の問題、12〜14問目は音楽……と、全体の問題構成もわかるので、力の配分もつかめてくる。
クイズグランプリはジャンル別の得意不得意がはっきりするし、10点の問題をたくさん答えても、さして点がふえないと身を持って知らされるだろう。
TVの見方しだいで、いくらでもクイズに強くなれる。クイズ問題集で問題演習をする机上の演習だけでなく、実際の番組を見て実戦に即した練習をしよう。また、TVを見ること自体、最良の問題演習にもなっているのだ。毎回何十問も出される問題に接するのだから……。
クイズ作家がクイズ問題を作るには、必ずネタがある。何をネタにして問題を作っているかを考え、このネタを前もって手に入れれば勝負はかなり楽になる。そして最大のクイズのネタは新聞だと思う。
現在ぼくは、毎日・読売・日経の3紙をとっている。クイズ出場の何日か前からはそれらを丹念に読む。出題されそうな記事は切り抜いてノートに貼り、記事から自分で問題を作ったりする。
それではクイズのための、新聞活用を述べてみよう。
▼ホンモノのクイズ原稿 ベルトクイズQ&Q子供大会用のもの
実物(省略)
クイズのために講読するなら、出場するTV局の関連新聞をお読みになることをおすすめする。御存知のようにTV局と新聞社は密接な関係があり、同じ読むなら関連新聞のほうが何かと都合がよい。
▼新聞社とテレビ局の関係 新聞社 読売新聞 毎日新聞 産経新聞 朝日新聞 大阪のTV局 読売テレビ 毎日テレビ 関西テレビ 朝日テレビ 東京のTV局 日本テレビ 東京放送 フジテレビ テレビ朝日
「都合がよい」とは、すなわち関連新聞にしか出ていない記事が出題される場合があるからだ(P259参照)。また、スポーツ紙はスポーツ記事はもちろん、芸能記事も一般紙より詳しい。出場1週間前から、駅の売店で4〜5紙買い集めてきて読むことをおすすめする。スポーツ紙でも家庭まで配達してくれるので定期講読してもよい。
新聞に載っている情報は、多種多様にわたる。現在のような情報過多社会においては、情報も選択しないと流されてしまうから、多様にわたる新聞記事のどこを選んで、どのように読んだらいいかと悩む人もいるだろう。79年12月28日(金)の朝日新聞東京版を例にとってみよう。
まず第1面の政治面では、「国鉄六%台の値上げ」と「55年度予算復活折衝」が報じられている。国鉄の値上げの実施は「四月二十日から」とのこと。「六%台」とはっきり値上げ幅が決まったわけではなく「……の見込み」「……のもよう」といった推測は、かなりの率で当たりはするけれど、クイズ問題にするのは危険である。たとえば「××は何%値上げされるでしょう」という問題を出題したとする。録画後審議がし直され、値上げ幅がかわったなら、放送局は「この放送は○月○日に録画したものです」と、ことわりのテロップを出すハメになる。
アップダウンクイズの小池アナの話だが、佐藤政権末期、大臣が次々にクビになったので、大臣に関するクイズを作ってしまっていたのであわてたそうだ。
まだはっきりしないことがらについては出ないと踏んでよい。55年度の予算額なども決まれば充分出題されるから、そういうことが、現在行われつつあることはよく心得ておこう。
このほかに、「社党、連合政権で政策」「イラン制裁、海上封鎖回避、米国に要請も」「母子年金を上積み。『老齢』は月千五百円増」などの記事がある。この中でクイズに出そうなのは、老齢年金が月額千五百円増額されることくらいだろう。政党の政策のようなあいまいとしたものが出るわけはないし、イラン情報のように変化が激しいものも出ない。第一これらにはおもしろみがない。
1面の片隅みに天気予報が出ている。天気図の記号の意味は「目で見るクイズ」などでしばしば出題されるので、表にでもまとめて覚えておきたい。
「寒い朝、窓に美しい模様に霜ができることがあるが、これを“窓霜”といい、零下3度以下の玄関の朝にできやすい」との記事がついている。クイズになりそうだ。
政治面の記事の内容はクイズになることが少ないが、出てくる単語や人名はよく出題される。ざっと挙げると「シビリアンコントロール」「復活折衝」「竹下蔵相」「閣僚折衝」「防衛費対GNP比0.九%確保」「四十人学級」「大来外相」「バンス米国務長官」……などは出題される可能性が強い。閣僚名やよく耳にする時事用語はマークしておきたい。
閣僚名は、組閣時の発表を切り抜いておく。時事用語は「現代用語の基礎知識」で調べるか、朝日新聞なら「声」欄下に「ことば」という時事用語解説欄があるから(各紙に同様の欄がある)それを読んでおく。
2面に移る。小さい記事だが「80年サミットがイタリアのベネチアで6月22、23日に開かれることが決定された」との記事をマーク。このほかの記事は「来秋(80年秋)の自民総裁選、河本氏が出馬宣言」「恩給大幅復活決まる」「地方税来年度(80年度)は15兆円台に」など、クイズ向きな記事ではない。
目を下の広告欄に落とすと、糸川英夫氏の『前例がないからやってみよう』という本の広告が出ている。これもマーク。新聞広告のうち著名人、話題作の新刊書と、新作映画は見逃せない。
3面に移る。これも小さいけれど、80年の元日に「うるう秒」が組み込まれる記事が出ている。「地球の自転周期が一定でないため、標準時と実際の時刻との間にできるズレを補正するこめの措置で、一九七二年以来九回目のこと。日本は一日午前八時五十九分から同九時までの一分間が六十一秒になる」
これなどは特に80年がうるう年であるから、それとの組合せで出題されるかナと考えられる。
本の広告には、アーサー・ヘイリーの『エネルギー』が。彼の既刊として『自動車』『マネーチェンジャーズ』『ホテル』『最後の診断』『権力者たち』が出ている。書名と作家名は極めて出題率が高いので覚える。本を買って読むなら、なおよい。
4面は国際面。「ラオスのゲリラ組織」をはじめぶっそうな記事ばかり。暗い話題、特定の人物団体を非難する話題などは、ほとんど出題されない。それよりも、この面では「海外トピックス」欄にぜひ目を通していただきたい。よく珍話題がのり、楽しいので出題率が高い。この日は「一千六百九十二件、今年(79年)はじめから十二月二十一日までの間にニューヨーク市内で起きた殺人事件の件数」と、これまたぶっそうな話題。しかし数字を三択にしてヤマカンクイズに出そうである。
5面は社説と「声」欄。この面には週に何回か、時事用語解説の「ことば」欄がある。やや専門的な用語が多いが、問題レベルの高いアップダウンクイズやクイズグランプリに出るなら、切り抜いておいたほうがよかろう。この日の「ことば」をクイズにするなら、
「公共部門でも民間部門でもなく、両者が共同で組織した事業体を一般に何と言うでしょう」
答−−第三セクター
6面は経済面。「本田とBLの提携」「紳士服メーカーや通信販売メーカーの倒産」などが出ているが、特定メーカーの話題なので出題されない。しいていえば、クイズになりそうなのは、「4月より東京の都市銀行7行が、現金自動支払機の共同利用(オンライン提携)を始める」ことぐらいだろう。「他行のカードで現金を引き出す場合、一件につきカード発行銀行が百円、利用者が50円の手数料をとられる」そうだ。手数料の額が問題になりそうだ。しかし、なにぶん東京だけの実施では、地方の出場者に不利になるから、出題はまだ尚早か。この面はクイズになりそうな話題はほとんどないのが実情。東京株式第一部指定銘柄が12社あることは、ときたま出題される。
7面もひきつづき経済面。経済面の記事は政治面にも増してクイズになりにくい。しかし単語は出題されるものが多くならんでいる。ちょっとクイズを作ってみよう。
「石油産業には採掘、輸送、精製、販売などの種類があるが、原油採掘もしくは精製業の一部門だけを扱う独立系に対し、全段階にわたる大企業を何というか」答、メジャー(国際石油資本)
「産油国政府もしくは、これを代行する国営石油会社がメジャーを経由しないで直接販売する原油を何というか」答、DD原油
「経団連の正式名称は」答、経済団体連合会
「日本貿易振興会の略称は」答、ジェトロ
「1バレルはおよそ何リットル」答、百五十九リットル
どうやって問題を作ったかというと、記事をざっと読んで、日頃新聞やTVニュースでよく出る単語をまず選んだ。選んだ単語はどれも、ニュースでよく出たり、新聞の見出しになったり、過去何回かクイズに出題されたものばかりである。それらの単語の意味は、紙面からでははかりかねるので『現代用語の基礎知識』を引いた。そして「意味」を問題風にアレンジし、選んだ単語を答えにしたのが「メジャー」「DD原油」である。「ジェトロ」と「経団連」は頻繁に出る略語である。
この日の紙面にはほかにも、NIOC・イラン国営石油会社、XJB・ジェットエンジン日英共同開発、EMS・欧州通貨制度などの略語も出ていた。
「バレル」は石油危機以来よく耳にする単位。二百カイリ問題のときも「1カイリは何m」という問題がよく出た。単位も無数にあるので、新聞などで話題になると、よく出題される。先手を打って調べておこう。
8面は、カンボジア難民についての解説。同時に、「募金による、アジア地域の開発途上国に体する援助を目的とした、日本初の募金型公益信託機関が11月に発足した」旨の記事。これを「アジア・コミュニティー・トラスト、略称ACT」というそうだが、難民問題が国際的に叫ばれている昨今、明るい話題なのでマークしておこう。アクトなんて、ゴロもいいので答えになりやすい。
9面は家庭欄。NHKで新しく始まる番組、「ミセス・コロンボ」を取り上げている。ただの一度も姿を見せなかった「うちのカミさん」がいよいよTVに登場するのだからおもしろい。クイズになりそうだ。アップダウンクイズやクイズグランプリならこんな感じで出題されるだろう。
「コロンボ刑事の奥さんの名は何というでしょう。」答、ケイト・コロンボ
「ミセス・コロンボには子供がいる、いないのどちら」答、いる。7歳になる女の子、ジェニー。
ヤマカンクイズの問題はズバリでなく、ちょっと視点を変えて出ることが多い。
「コロンボ刑事のカミさんが活躍するドラマ、ミセス・コロンボはアメリカでも人気を呼び次々に制作されています。最初ミセス・コロンボというタイトルだったのが、その後ケイト・コロンボ、探偵ケイトと変わってきました。その理由の一つに60年代なかばから起きた、ある運動が影響しています。その運動とは何でしょう。」答、ウーマン・リブ運動。「ミセス」が保守的である。ケイトのすることは夫コロンボとは関係ないことなどが理由。
また、大阪の銀行が「主婦が幸せを実感するとき」を調査したアンケートの結果が出ている。アンケート結果もヤマカンクイズによく出る。
「このほど大阪の銀行が、主婦はどんな時に幸せを実感するかという調査をしました。その中で一番多かったのは次のうちどれでしょう。子供や夫などとの家庭だんらん。勉強や趣味。友人・知人などとの話」答、だんらん。
もうひとつ、アメリカでローラースケートが10年前の2倍も普及している記事がある。ヤングにとってローラーブームは周知のことだが、年配の方にはピンとこないかもしれない。しかし、新聞の小さな記事で、そんな情報もキャッチできるのだ。
10、11面は毎週金曜日はFMウィークリーという、一週間分のFM放送の内容のわかるプログラム欄になっている。FMで放送される局名や歌手名がズラリ出ているので、使い方によっては芸能・音楽に活用できる。しかし膨大だし羅列にすぎないので、はたして音楽に興味のない人は丹念に読めるかどうか。また下面にはレコードの広告がある。これからもクイズが作れそうだ。一般に、曲名と作者あるいは歌手名がわかればOK。
12面はスポーツ面。オフシーズンなので、たいした記事が出ていないが、「優勝者は」「新記録を出した選手は、記録数字は」などは常にマークしておく事柄だ。
この日の見出しを見ると「すんなりドラフト、指名の9割まで入団」とプロ野球ドラフト会議一ヵ月後の中間報告。会議直後なら「誰がどんなチームから指名を受けたか」は絶対記憶事項だったが、この記事はもはやクイズになりそうにない。
「フジタVへ一番手、天皇杯サッカーきょう8強が激突」という記事に、元日が決戦とある。どこが優勝したかを元日に調べてよう。試合でめざましい活躍をした選手がいれば、その名もマーク。
「ボクサーの死繰り返すな、米NY州が試合禁止」−−日本ではこの3年間に試合中に7人もの犠牲者を出しているという。しかしマイナーな話題なのでまず出ないだろう。
「バレー五輪予選総監督に松平氏−−」1月20日からブルガリアで開かれる男子バレー、モスクワ五輪最終予選のための総監督に松平康隆氏が決まった。これは出題される可能性が高い。“松平康隆”と“ブルガリア”を覚えておこう。
「ハーフタイム」というコラム欄にプロボクシングWBAとWBCのそれぞれヘビー級チャンピオンの名出ている。「WBAヘビー級チャンピオンはジョン・テート、ではWBCは」答、ラリー・ホームズ。彼らが同じ日に同じリングでそれぞれの防衛戦を行う計画があるとのこと。話題をよびそうなので覚えておく。
13面は東京地方版。話題が偏るのであまり出題されない。
14面はいわゆる第2社会面。ここの記事はよく出題される。「岡山大に国立大学として初めての社会人コースが誕生」「郵便貯金高が総計50兆円突破」「梅雨時から都内で天気の確率予報を実施」などの、明るい、楽しい話題が出ている。クイズにしてみよう。
「社会人になってからも学びたいという方は大勢います。このほど国立大学としては初めての社会人再教育コースを設けた大学はどこでしょう」答、岡山大学。
「わが国の郵便貯金高が50兆円を超え、世界一の大記録となりましたが、この貯金の大部分は何という種類の貯金が占めているでしょう」答、定額貯金(利率がよいため)
「気象庁は都内の天気予報に確率予報を出すことを決めましたが、この確率は、どんな天気になる確率でしょう」答、雨。(雨が何%可能性で降るか、あるいは都内の何%の地域で雨が降るか、どっちの意味にとってもよい)
15面も社会面。ひったくりや火事、公費乱用などのロクでもない記事が多いのだが、「53年国民栄養調査によると、20代女性を筆頭に肥満者の率が減少した」「農道や林道を歩いて一都六県を一周する首都圏自然歩道に予算がおりた」「受験シーズンにあやかって国鉄四国総局が“ごうかく駅”行きのバス乗車券を発売」などの話題も。「肥満者が減った」とのちょっと意外な記事や、「首都圏自然歩道」「ごうかく駅」のような明るく楽しい話題はマークしておこう。クイズを作ってみる。
「それではイエス・ノーの問題です。国民栄養調査によると、日本人はますます太ってきた」答、ノー。
「高尾山から大阪箕面へ通じるのは東海自然歩道ですが、高尾山を起点に一都六県をぐるりとまわり高尾山に戻る、現在計画中の歩道を何というでしょう」
答、首都圏自然歩道
「縁起のいいキップはあいかわらずブームのようですが、このほど四国の国鉄バスが売り出したのはどこ行きのキップでしょう」
ピンポーン
「はい、○○さん」
「学(がく)駅」ブー。
「うーん、残念。確かに学駅のキップも売れてますが、問題は国鉄バスですよ。これはズバリごうかく(合角)駅行きのキップなんだそうです。発売所はなんと落出(おちで)駅なんだそうです」
そして、ラストはラジオ・テレビ面(ラテ面と略す)。TV放映される名作映画の配役や監督、人気タレントの動向を知ることもできるが、プログラム欄はやっぱり見たい番組を差がするに役立てるのが一番いいんじゃないかな。
さて、この日の夕刊も見てみよう。
1面に「アフガニスタンでクーデター、アミン議長を処刑」と血なまぐさい記事。しかしこの記事によってアフガニスタンというあまりなじみのない国の首都がカブールと知ることができた。クイズ問題には誰が処刑されたかなどという恐ろしいことよりも、
「最近クーデターがあったアフガニスタンの首都は」
といった形になることが多い。この事件はのちにソ連が介入して、ことが大きくなった。
2面のコラムの「特派員メモ」の中に「ナボーナ広場」という言葉がある。ローマ特派員の記事だから、ナボーナ広場はローマにあるとわかる。トラファルガー広場、タイムズスクエア、コンコルド広場など、都市の名所もよくクイズに出る。何度も書くけれど、記事そのものより単語に注意しよう。
3面はナチ戦犯についてと抗日運動について。どちらもクイズには出ない。
4面は芸能記事。サル年生まれのタレントの話が出ている。この日はなかったが、外国タレントの話題など、クイズ向きの記事も出ている面だ。
5面は文化面。記事は「パロディについて」「ポーランド演劇について」とクイズになりそうにもない。
8面の第2社会面で、小さな記事だがワールドカップスキーのジャンプがイタリアのコルチナダンペッツォで開かれたとの記事。冬季五輪も開かれた土地だからクイズに出るかも。
夕刊のラ・テ面下は映画の広告が多い。作品名、主な配役、監督、原作者名は必ず覚えること。極めて出題されやすい。
ではスポーツ紙も広げてみよう。79年12月28日付の「日刊スポーツ」東京版である。
あいにくオフシーズンなので、たいした記事がないのが残念。しかし、同じ事柄でも一般紙のスポーツ面より幅広いデータが得られるので、クイズ出場の前だけでもいいから、スポーツ紙も読もう。
2面に「ヤクルト、ヒルトン内野手を自由契約に」「マニエルの要求、2年契約で1億円」とストーブリーグ外人選手の話題。これらは来日や年俸額が決まったわけではないので、クイズにはまだ出ないが、心にとどめておく事柄だ。同じく「ロッテ張本、今日にも誕生」と移籍の話題もよく出るが、出題は決定してから。
2面に「シック・スポーツ大賞を、掛布、マニエル、青木功らが受賞」と賞関係のニュース。優勝、受賞関係はよく出題されるので必ず目を通しておこう。
「背番号18、西武・田鎖」西武のドラフト2位指名盛岡工の田鎖選手の背番号が決まった記事。新入団、移籍に伴う有力選手の背番号も出題率が高い。18はエースナンバーである。
3面は「新人王へ決意の始動、木田」など読み物的な記事。ヒマダネみたいで、クイズにはならない。
4面には80年1月3日に行われるWBCジャニアフライ級戦の前記事が。大きなボクシング試合になると、かなり前の時期から、誰と誰の試合か、あるいは相手選手はどこの国の人かといったことがクイズに出るので、要注意。
かこみ記事で、スキーヤーの三浦雄一郎氏が札幌雪まつりのテーマ曲「恋の雪まつり」(作詞作曲、浜口庫之助)をレコーディングしたとのこと。スポーツマンのレコードはいまどき珍しくもないが、こういった話題がよく出題されるのでマーク。
5面にはモスクワ五輪出場権に賭ける男子バレーの監督に松平氏が決まったことが、一般紙より詳しく出ている。また天気予報欄の「風」というコラムには、酔っぱらうという表現の「へべれけ」の語源が出ている。ギリシャ神話のヘーベーという女神からきているそうだ。ヘーベーは神々にお酌してまわる役目だったそうな。語源は三択のヤマカンクイズなどによく出題される。一方「質問箱Q&A」は読者の質問に答える欄だが、この日は新人王の資格について。
「新人王は、支配下選手に登録されてから何年以内の選手に与えられるでしょう」答、5年以内。
6面は旅行、囲碁、占いなどの娯楽面。各地で行われる新年の奇祭が紹介されているが、祭りは有名なもの(京都三大祭、博多どんたくなど)でないと、あまり出題されることはない。ただし、アップダウンの御当地クイズには、その土地独特の風習などが出る場合も。
7面は競輪と競艇。
8、9面は初詣をひかえる各地の寺社の広告。広告といえども、初夢、絵馬、破魔矢などのいわれが出ている。初詣の人数がトップの寺社名は毎年必ず出題されている。
10面は芸能面。新曲や新人歌手のキャンペーン、新作映画の紹介、スターの結婚、各映画賞、音楽賞などの発表、芸能ゴシップなど週刊誌より早く、これらの情報をキャッチできるのがこの面。11面は、日刊スポーツ紙では「あなたの社会部」という特集ページだが、他紙はこの面も芸能記事だ。
おしまいの12面はピンク記事。クイズ向きではありませんネ。なお、宅配用のこの面は、ラ・テ面となる。
このように、古い日付で恐縮だが、実際の新聞を広げて、クイズのための新聞の読み方を書いてきた。まとめてみよう。
●楽しい話題、明るい話題の出題率が高く、暗いもの、個人、団体の名誉にかかわるものなどは、ほとんど出ない。
●政治面、経済面からは、出来事ズバリよりも、話題になっている語句の意味などが問われやすい。重要なもの、生活に密接しているものは内容まで問われる。
●海外トピックスなどの珍話題を扱った記事の出題率は高い。
●スポーツは、優勝者名、記録などが極めてよく出る。
●第2社会面からの出題も多い。
●広告のうち、新刊書、映画の広告はたいへん重要である。
●「……の予定」「……の見込み」のように、まだはっきりしない事柄については出ない。
新聞を切り抜いたり、記事から問題を作ったりした上で、クイズ番組を見てみよう。そのうちに
「この問題は、あの記事から作ったナ」
「オレの作ったとおりの問題が出た!」
「そういえば、この話題はどこかの紙面に出ていたワ。どうしてチェックしなかったのかしら」
などと、見る楽しみがふえてくる。最初のうちは、クイズに出もしない記事ばかりをマークするかもしれないが、番組をよく見て傾向をつかみ、何回か試行錯誤を繰り返すうちに、新聞を広げただけで「この記事はクイズになる」と、ピンとくるはずだ。また週刊誌からの出題もよくあるので、総合誌と芸能誌を少なくとも一誌ずつは読んで、問題を作ってみたり、切り抜いたりするとよいだろう。
最後になるが、ひとつ大事なことを。いつごろの新聞や雑誌に出ていた話題が出題されるのだろうかということだ。問題作成時期は録画のどのくらい前なのだろうか。
アップダウンは録画当日の朝刊(特に毎日新聞)の記事も出題対象になる。
グランプリは録画前日の記事も出題される。
タイムショックの問題作成は、録画日の約12日前である。だから出題される話題は、録画日の約2週間前のものになる。
アタック25は時事問題は少ない。しかし録画当日も問題会議が開かれるから、当日の朝刊にも目を通すべきだろう。
どの番組に出るにしろ、新聞や雑誌などから的確な情報を仕入れ、整理しておき、問題に対向しよう。
新聞や雑誌、TVラジオからの情報をはじめ、人の話やちょっと目についた事柄は、すべてクイズになりうる要素を持ってる。これらの膨大な情報を、ただぼんやり見ているだけではクイズマンとは言えない。情報の中から必要なものを収集し、きちんと整理しておこう。この、
現状の把握
その傾向の分析
それに対する資料の収集整理
その資料を活用しての今後の対策、実施
は、クイズのみならず、現代社会において、極めて重要なプロセスといえよう。この本では、クイズについてのこれらの過程を述べているつもりだが、この項目では整理の方法を書いてみる。
情報には、ほぼ不変的なものと流動的なものの2種類がある。「イスラム教の最後の預言者は→マホメット(ムハマンド)」が前者だし「イランの最高指導者は→ホメイニ師」が後者である。(80年10月現在)いくら必死で覚えても、「パーレビ国王」などと答えてはブー(不正解のブザー)だから、これらは区別して整理しておきたい。そこでぼくは次のような方法を用いた。
●不変的なものはB6カードにまとめ、ジャンルごとにバインダーに綴じる。
●流動的なものはアトランダムにノートに書き留める。ノートの左ページは新聞などの切り抜きの貼り込みに、右ページをメモにする。
これは、あくまで一例。参考にして各自最適な方法を見つけてください。
B6カード(B6判の大きさの、やや厚手の紙でできているカード。文具店で売っている)には1枚につきひとつの事柄を書いておく。見出しとメモした日付も書く。不変的な内容なので資料として永く残すため、クイズ問題にはせず、暗記用にした。このカードは後の項目「ジャンル別勉強法」の中の資料を書くのに役立った。おおむねあのような形でメモしてある。カードだと差換えが自由にできるので、内容ごとに分類整理するのにも便利である。バインダーに綴じると散逸するのを防げるし、持ち運びにも便利だ。
一方各番組の予選通知や予選問題、スタジオの様子など、各番組のデータもB6カードで整理してある。これはこの本の第2章、第3章を書くのに役立った。
さて、ノートのほうはB5判のありふれた大学ノートである。見開きの左ページはスクラップをするページで、新聞などのクイズになりそうな部分を切り抜いて貼ってある。新聞切り抜き用のカッターナイフも売っているから、これを使うと便利だ。、
右ページは、カードと違ってクイズ形式にしてある。新聞などの情報から自分でクイズを作ったものを書き留めておく。もちろん答えも書く。あるいはクイズ番組の問題で、できなかったものを書き留めておいた。この作業にはビデオが役に立った。クイズ問題は繰り返し出題されることが多いから、できない問題をモメして覚えるのはよいと思う。書くことで覚えるし、ノートを何度も見返すことでも覚えるから。ただ不思議なことに、覚えられないものは何度やっても覚えられないものだが……。
ノートにメモをする場合も、ジャンル別に問題を別けてメモをする方法も考えられる。
だが、あまりに煩雑になるのでやらなかった。第一クイズ問題はアトランダムに出題されるから、アトランダムにメモる方が実戦的だろう。このノートは第2回ウルトラクイズのときカバンに入れていった。現地で皆とノートからクイズの出し合いをして勉強したのがいい思い出である。
実はもう一冊別のノートがあって、これはP129などで説明しているスコアをつけるためのノート。いわば落書き帳のようなものだ。
しかしながら、実際に毎回TVや新聞からメモをとるとなると、これは大変な作業になる。頭を使わないといけないし、時間も結構かかるので、余程ヒマでもないと毎日やるのは難しいだろう。予選に合格して出場が決定した頃とか、日曜日にまとめてとか、作業をする日を決めておいたほうがいい。ぼくも学生時代はやっていたけれど、今は新聞3紙に目を通すのがやっと。出場が決まらないと腰をあげないだろう。
ただし、メモを作る作らないにかかわらず、いつも好奇心のカタマリでいて欲しい。アンテナを常に伸ばしている、その気持ちが大切なのだ。
ほとんどの番組は録画だ。録画日を忘れたら出場できないので話にならないが、放送日が何日かということも大切である。「そりやそうだ。せっかく出たのだから番組を見たい」イエイエ、それだけではありません。放送日や、その季節にちなんだ問題もよく出題されるからである。だから録画前から自分の放送日はいつかを、しっかり確認しておかなければならない。
放送日が1月25日なら、
「明治35年の1月25日、青森の歩兵大隊が雪中行軍の際遭難するいたましい事件が起きています。何という山で遭難したのでしょう」答、八甲田山
「九○一年1月25日、菅原道真は九州へ左遷を命ぜられました。道真は九州のどこへ左遷されたのでしょう」答、大宰府
「一八七四年1月25日、『人間の絆』や『月と六ペンス』で知られるイギリスの作家が生まれています。誰でしょう」答、サマーセット・モーム
このような、放送日にちなんだ問題がよく出題される、特にアタック25は、後半の様相を大きく変える、アタックチャンスの問題がおおむね放送日にちなんだ問題なので、きわめて重要。何年前の何月何日にどんな事件があったか、誰が生まれ、誰が死んだか、彼らの残した業績は……。これらを前もって調べておくのとおかないのでは大きな差がでてくる。
「どうやって調べればいいんですか。年表は年代順に追ってあるだけで、日付から事件を調べるわけにはいきません」
そうなんです。ぼくもその点を悩みました。でも日付から引ける本がこの世にないのなら、クイズ作家だって問題を作れない。クイズの問題をどんな本を元にして作るのかを考えると、必ず本があるはずだ。そこで区立図書館へ行くとやっぱりあった。そのテの本が。こういう時って嬉しいんだなあ。「三六五日事典」(社会思想社)「カレンダー日本史」(岩波ジュニア新書)「史話366」(TBSブリタニカ)などが、その日のでき事や行事のわかる本。これらの本で、放送日、およびその前後(必ずしも放送日のが出るとは限らない。1月25日放送なら1月27日ころまで調べておく。放送日前の事件はほとんど出ない)の事件や人物について調べて身構えておこう。
行事についてもこれらの本や、「日本生活歳時記」(社会思想社)をはじめとする年中行事の本がいろいろ出ているから手許において調べよう。行事の場合、日数に余裕をもたせ、放送日の3週間くらい先まで調べておいたほうがいいだろう。
ぼくは行事については、日本交通公社の「旅の絵ごよみ」カレンダーを愛用している。その年の何月何日にどこでどんな行事があるかひと目でわかる、イラストを多数使った楽しくきれいなカレンダーだ。交通公社の各営業所で年末年始に発売している。
録画日にスタジオへ行けば、スタッフが、
「今日は12月25日だけど、放送は1月25日です。もう正月が済んだような顔してちょうだい。録画中に“今日”といえば1月25日のことですからね。“今日は何月何日でしょう”という問題に12月25日と答えたらブーですよ。」
などと念を押す。しかし、
「えー、みなさんは1月25日放送予定でしたが、特別番組が急に入りまして、2月1日放送に変更になりました。」
とも言われる場合があるので、「三六五日事典」などを、念のため持参しよう。
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