TVクイズまる金必勝マニュアル

名人が教える150のノウハウ

©北川宣浩 1985
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14.ミスに、事件に、放送中止!?


 タレントや主要スタッフが不祥事を起こすと、すでに録画済の番組は大困りで急遽、番組を差し替えたり、断りのテロップを流して放送したりと、テレビ局はてんやわんやになります。そこでクイズマニアの中には、クイズの録画後、自分や司会者がよからぬことをして捕まったら、クイズ番組でも放送中止になるのか、とくだらないことを考えている者がいます。まー、人を殺した奴が賞金をガッポリ貰ってしまったら、あるいはニャンニャンした司会者がもっともらしく出場者にインタビューしてたら、視聴者から反感を買うでしょうねぇ。

 でも実際に、83年に連続殺人で捕まった京都市の消防士勝田清孝は、77年夏に朝日テレビのクイズ番組「夫婦でドンピシャ」の予選を受けたのち女性を殺し、その6日後に平然と夫婦で録画録りを済ませて8万円を獲得したという、世にもおぞましい事件がありました。また、83年4月には、2年前に五百万円を盗んで逃げた男が日本テレビの「エッ、うそーホント!?」で問題の解説役で出演。それが元で逮捕されたという、どこか間が抜けた事件もありました。これらは放送後に事件が発覚していますが、一億総タレントの時代、いつ視聴者参加番組で放送中止が出るかわかりませんね。

 それとは違いますが、クイズ番組は問題のミスがしばしばあってスタッフを悩ますようです。例えば、午前中の某クイズ番組は、初期に「鉄腕アトムを作った博士は」という問題の答えを「お茶の水博士」にしてしまったことがあります。正解は「天馬博士」で、この問題は、「鉄人28号を作った博士は」という問題同様に誤りやすい問題です。その後この番組ではスタッフに大学のクイズ研究会を入れたりして、出題ブレーンを強化しているようです。

 また、かつて某歴史的クイズ番組は、「世界で一番大きい大陸は」という問題に「ユーラシア大陸」と答えた者を間違いにしてしまいました。ユーラシア大陸はアジアとヨーロッパを含む世界一の大陸で、もちろん正解です。放送前にミスに気がついたからいいものの、結局このビデオテーブは破棄し、このときの出場者には後日改めて出場してもらいました。

 中でも82年2月14日のバレンタインデーは最悪で、「聖バレンタインはどこの国の人」という問題が、朝のクイズマガジン82(テレビ朝日・終了)と夜のアップダウンクイズにそれぞれ出ました。マガジン82は「イタリア」と答えた出場者を間違いとし「アイルランド」を正解としたのに、アップダウンは「アイルランド」と答えた出場者を不正解とし「イタリア」を正解としたのです。かの「三六五日事典」には「アイルランドの人」とあり、岩波などの人名事典には「古代ローマの人」とあって、日本キリスト教連合会に照会すると「イタリアの人です」とのこと。どうやら「三六五日事典」が間違いの元のようですが、解答が逆ならどっちも正解だったわけで、この日をクイズマニアは「聖バレンタインデーの逆殺」と呼んでいます。

 

 

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