かつて北海道の大地を駆け巡っていた、今は廃線となった国鉄ローカル線のありし日の姿。
線名:夕張線(ゆうばり・せん)支線 通称 登川線(のぼりかわ・せん)
区間:紅葉山(もみじやま)-登川(のぼりかわ) 7.6Km
全駅:紅葉山-楓-登川
開業:1916年07月11日 紅葉山-登川
全通:1916年07月11日
廃止:1981年07月01日(登川支線)
訪問:1980年03月08日
線名:石勝線(せきしょう・せん)支線 通称 夕張線(ゆうばり・せん)
区間:新夕張(しんゆうばり)-夕張(ゆうばり) 16.1Km
全駅:新夕張-沼ノ沢-南清水沢-清水沢-鹿ノ谷-夕張
開業:1892年11月01日 新夕張(当時は紅葉山)-夕張
全通:1892年11月01日
廃止:2019年04月01日(石勝線夕張支線)
訪問:1980年03月08日
夕張線は新千歳空港のほど近く、室蘭本線追分駅から分岐して炭鉱で知られた夕張へ結ぶ路線である。途中駅の紅葉山(もみじやま)駅……現在の新夕張駅付近……から、東へ分岐する支線があった。通称登川線で、まぎれもなく石炭輸送のために作られた鉄路である。石炭産業が斜陽になり、閉山。町はひっそりと静まりかえったところに、札幌と道東を結ぶ石勝線がここを通ることになり、線路は一部付け替えられて、登川駅は姿を消した。
場所を移して新設された楓(かえで)駅(廃駅)を1995年に訪れたが、幹線の石勝線(せきしょうせん)となって、高規格の線路が何本も走っていた。地元の人に「登川駅はどこにありますか」と聞くと、怪訝な顔をして「草に埋もれているよ」とぽつりと答えた。本当にそうなっているのか、まったく興味がないので廃墟になっているたとえでそう言ったのかはわからない。
登川駅はたった1両の気動車が着く小さなホームと、こぢんまりした駅舎だけの、かわいいいかにもローカル線の終着駅という雰囲気を備えた駅だった。そのためか、奥村チヨの往年のヒット曲「終着駅」のレコードジャケットの撮影に使われたという話しを聞いた。
かつての夕張駅は現在の位置とは異なる。 |
|
-----と書いた手前「終着駅」のレコードが欲しくなり、いろいろと探したが奥村チヨがヨーロッパの城(フランス・ロワールのシャンポール城と思える)をバックに写っているジャケットしか見当たらない。発売当時、確かに近所のレコード店で鄙びた駅舎をバックにしたジャケットを見た記憶があるし、夕張関連のサイトでもそのような記述がある(登川駅前で歌う奥村チヨをNHKが放送したという記述もあった)。登川駅が写っているレコードジャケットをお持ちの方はいらっしゃるのだろうか。
-----と書いて数ヶ月、ヤフオクをチェックしたらなんとこれまでと違うジャケットの「終着駅」が出品されているではないか(2002年6月)。四曲入りの企画モノのようだ。私の記憶していたローカル駅のジャケットは、駅舎をバックに駅前に降り立った写真だったが記憶違いか、はたまた別バージョンか。
この世のものとは思えない金額で入札し、落札した。
残念ながら駅名票は読めず、この駅がどこだかわからない。登川駅のホームにはジャケットのような待合の小屋はなかったようだが、さてどこの駅で撮影したのだろう。ジャケットを見返しても何も説明がない。
----------と書いて7年の歳月が過ぎた。
2009年11月10日に黒滝さまより次のようなメールをいただいた。
奥村チヨのレコードジャケットの件ですが、私の亡叔父が夕張線で車掌をしているときに話していましたが、あの駅舎は終着駅ではなく中間の滝ノ上駅にて撮影していたそうです。
当時は終着駅という歌の写真に使うのはどうかと言ってました。
線路や街並みはかなり変わってしまいましたが背景の山は今でも同じような感じです。
ついにジャケット写真の撮影駅の謎が解けたのだ。
どうもありがとうございます。
----------と書いてから10年の歳月が過ぎた。
長らく夕張~新夕張(旧駅名:紅葉山、場所は若干移動した)間は石勝線(支線)に名を変えて運行していたが、夕張市の衰退もありJR北海道としては廃線にしたかった。幸い?沿線自治体は夕張市だけだったため話が早く、2019年に廃線となった。
ほどなく廃線になるのがわかっていた2017年6月、ほかのローカル線を含めてお別れ乗車をした。
高架の新夕張駅から1両の列車はどん詰まりの終着駅、夕張駅目指して発車した。乗客はそこそこ乗っている。途中の沼ノ沢駅では数名の地元民が降りた。沼ノ沢駅は駅舎内にレストランおーやまがあり、食事をしたことがある。おいしい町の洋食屋さんだった。鉄道が来なくなり、元駅舎はレストランだけになってしまったのだろうか。
列車は夕張駅に到着した。1つしかない短いホームは1両の列車でふさがった。数名の地元民と鉄道マニアが降り、駅前にホテルマウントレースイがあるけれども、マニアはそのまま折り返す。
数分の折り返し時間で外に出て、夕張駅の駅舎を眺める。塔が立っているかわいい駅舎で、狭い構内では廃線記念?のグッズを売っていた。
終着駅の、片側しかない駅名標はどん詰まり感が出ていて好きだ。折り返しの列車で新夕張駅へ、そして新千歳空港駅へと向かった。