TVクイズ大研究

TVのクイズ番組を裸にした本!
数々の番組で優勝を続ける筆者が、自らの経験と頭脳からあみ出した、本当は公開したくない、
TVクイズ攻略のまる秘カリキュラム一挙公開!

©北川宣浩 1981
クイズの本

第4章:クイズの勉強法/ジャンル別クイズの対抗法


科学は子供向きのやさしい本から


 ぼくは子供のころから「理科」が好きだったので、科学ジャンルについては、とりたてて勉強した覚えはない。でも科学は、できる人とできない人の差が大きいと思う。女性や文科系の方には、"科学アレルギー"の方も少なくないようで、数式や化学式、電気器具の簡単な修理など、まったくオテアゲの方がいる。

 そんな方は、まず小、中学生向きのやさしい本をお読みになってはいかがだろう。子供向きの「数のふしぎ」とか「なぜなに事典」のたぐいの本は、身近な疑問からスタートしていろのでおもしろい。第一気楽に読める。そうしているうちに、科学に興味が持てたらしめたもの。興味があるもの、楽しいものは、よく覚えられるからだ。たとえば「宇宙について」や「発明発見の科学史」の本などは、文科系の方にとっても読みやすいと思う。実際には高校生レベルの問題も出るが、高校の内容は、かなり難しくなってきているし、科学にあまり興味がない人に、高校生の参考書まで読めと勧めるのは、かえって逆効果だろう。難しい本を読むより、むしろ雑学的知識を仕入れたほうがいい。たとえば植物名や植え万は、女性の方が詳しいし、俳句をひねる方なら、樹木の名にも通じているだろう。

 例・高校生レベルの問題
●物質1グラム当量を電気分解するのに要する電気量は。答、1ファラデー
●数学で、順列をあらわす記号はP、では組み合わせは。答、C

 特に科学のジャンルについての注意点は、クイズはごくあたりまえのことがらが問題になるので、深く考えないこと。エンジニアやお医者さんは、自分の専門分野の問題に対して、ついつい「気圧が一定でない時は……」「検査方法によっては異なる反応が出るから……」なんて深く考えすぎてしまって、当然できるべき問題をのがしてしまったり、とんでもない答えを出して減点になる場合がままある。広く浅い一般的な知識があればよいのだから、「オッ、オレの本職だ!」と力まず、やさしく考えること。

 1979年11月の第3回ウルトラクイズ後楽園予選で、「鉄はさびると重くなる。○か×か」が出た。○なら赤いボールを拾って○の陣地へ、×なら白いボールを持って×の陣地へ走る。ぼくは、
1、さびるとは、すなわち酸素と化合することである。
2、化学式で書くと、
 2Fe+O →2FeO(酸化第1鉄) 
 4Fe+3O2 →2Fe2 O3 (酸化第2鉄)
 3Fe+4H2 O→Fe34 +H2 O(三酸化鉄)
3、鉄がさびたら、それは酸化鉄になり、もはや鉄ではない。
4、酸化鉄が鉄より重いのは、酸素の重さがあるからで、鉄そのものの重さは反応の前とかわらない。
5、よって鉄そのものはさびても重くならない。こいつはひっかけ問題だ。答えは×!

 なんてややこしく考えたからいけない。こんがらかって○を意味する赤いボールを持って×の陣地へ走ってしまった。で、失格。正解はタダの○で、単純に「さびたら酸素の分だけ重くなる」と考えればよかった。

 一方、金属材料学が専門の、横浜市の飯島隆裕氏から次のようなコメントをいただいた。「普通大気中で鉄がさびて赤サビを生ずる反応は4Fe+3O2 →2Fe23 (酸化第2鉄)で表されます。つまりサビが完全にもとの鉄に付着していれば、酸素の分だけ重くなるはずです。しかし通常ではボロボロ剥れてどこかにいってしまうでしょう。我々が金属材料の研究をする場合でも、腐食減量とか減肉量とかいう言葉を使い、それで腐食の程度を評価しています。また、比重についても、鉄は7.86、酸化第一鉄は5.1から5.2とずっと軽くなっています。出題者の意図は推察できますが、とにかくあまりいい問題ではなかったようですね」

 

クイズによくでる科学上の発明発見

三平方の定理 ピタゴラス(ギリシャ)
浮力の法則 アルキメデス(ギリシャ)
紙 蔡倫(中国)
活版印刷 グーテンベルク(独。火薬、羅針盤と共に、ルネサンス3大発明といわれる)
地球球体説 トスカネリ(伊、15世紀のこと)
地動説 コペルニクス(ポーランド 1473〜1543)
落体の法則、慣性の法則、振子の等時性、天体望遠鏡
ガリレオ・ガリレイ(伊、1564〜1642)
惑星の運動法則 ケプラ(独)
血液循環の原理 ハーベイ(英)
気圧・真空の発見 トリチェリ(伊)
確率論、微積分の研究 「密閉した容器内の液体や期待の一部に加えた圧力は、液体や気体のいたるところに同じ大きさで伝わる」(パスカルの法則)「人間は考える葦である」(『パンセ』より)
パスカル(仏)
ボイルの法則 「温度がかわらなければ、一定質量の気体の体積は圧力に反比例する」ボイル(英)
土星の環の発見 光の反射、屈折の研究、波の進み方の図示解(ホイヘンスの原理)振子の等時性の発見 ホイヘンス(オランタ)
細胞の発見 フック(オランダ)
万有引力の法則 ニュートン(英)
水銀温度計 ファーレンハイト(独、華氏をあらわすFは彼の頭文字。摂氏のCはセルシウス)
流体の運動(ベルヌーイの定理)ベルヌーイ(スイス)
避雷針 フランクリン(米)
生物分類学の研究 リンネ(スエーデン)
水力紡績機 アークライト(英)
蒸気機関の発明改良 ワット(英)
質量保存の法則 ラボアジェ(仏)
種痘 ジェンナー(英)
蒸気船の実用化 フルトン(米)
蒸気機関車 トレビシック(英)
「導体内の2点間を流れる電流の強さは、その間の電圧に比例する」
(オームの法則)オーム(独)
電磁誘導、電気分解の法則 ファラデー(英)
発信機 モールス(米)
進化論「自然選択説」 ダーウィン(英)
電流による発熱量に関するジュールの法則 ジュール(英)
エネルギー保存の法則 ヘルムホルツ(英)
遺伝の法則(優性の法則、分離の法則、独立遺伝の法則) メンデル
(オーストリア、エンドウ豆で研究した)
狂犬病予防接種 パスツール(仏)
「昆虫記」 ファーブル(仏)
ダイナマイト ノーベル(スウェーデン)
ガソリンエンジン(自動車) ダイムラー(独)
元素の周期表 メンデレーエフ(露)
X線 レントゲン(独)
有線電話 ベル(米)
蓄音機、映画、電球 エジソン(米)
進化論「突然変異説」 ド・フリース(オランダ)
条件反射 パブロフ(ソ、犬で実験した)
電流に関する、右手・左手の法則 フレミング(英)
結核・コレラ菌の発見 コッホ(独)
結核・ペストなどの研究 北里柴三郎(コッホの弟子)
血清療法 エールリッヒ(独)
ジアスターゼ 高峰譲吉
ディーゼル機関 ディーゼル(独)
ラジウム・ポロニウムの発見 キュリー(仏)
日本植物分類の作成 牧野富太郎
原子模型の理論の提出 長岡半太郎
アンモニアの合成 ハーバー(独)
血液型の発見 ランドシュタイナー(オーストリア)
結核ワクチン・赤痢菌の発見 志賀潔
KS鋼の発明 本多光太郎
ビタミンB1、オリザニンの抽出 鈴木梅太郎
無線電信 マルコーニ(伊)
黄熱病の研究 野口英世(病原菌の発見者ではない)
相対性理論 アインシュタイン(米)
ペニシリン フレミング(英)
ストレプトマイシン ワクスマン(米)
生命の起源の研究 オパーリン(ソ)
原子爆弾の製造 オッペンハイマー(米)
中間子理論 湯川秀樹
ロケット開発 フォン・ブラウン(米)

 

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