アメリカ横断ウルトラクイズ
クイズ王の本

歴代クイズ王が語るウルトラクイズ必勝法
「知力・体力・時の運」次のクイズ王はあなた!かも、しれない?

クイズ王の会/篇
©北川宣浩・森田敬和 1987
パンナムビル

必勝法 現地篇2/本土上陸〜決戦まで(3)

現地での過ごし方

 ここでちょっと話題をかえて、現地での生活に触れてみましょう。クイズと移動の明け暮れとはいえど、人間なのだからたまには気分をかえないとクイズにも影響してしまいます。どうリラックスするかも必勝法の一つなのです。

 グァム・ハワイでは人数も多いしスタッフも仕事のペースに乗りきれない時でもあり、多少のゆとりをとってあります。昼はウィンドサーフィン、夜はディスコを楽しむくらいの時間はありますが、とにかく撮影第一ですから、個人的な勝手な行動はなるべく慎むよう言われ、個人で行く海外旅行とはけじめをつけるべきでしょう。食事もこのころは団体扱いで、時間を決められ一律同じものを食べることが多いですね。グァムからハワイ、ハワイから本土へは時差の影響も大きいので、無理をせず食事や睡眠などに注意して、身体をアメリカに慣らしましょう。体調を整えておくのが勝利への第一歩です。

 本土に上陸したら、半分ごほうびの意味も込めて丸一日自由な日が設けられる場合が多いです。ロスに上陸したらディズニーランドへバスを仕立てて連れて行ってくれます。

 内陸部へ移ったら、いままであれほどいた日本人の姿がめっきり減るのに気がつきます。挑戦者の人数も減って互いに気心を知るようになり、スタッフの名前や役割もわかるようになります。確かにクイズをしているときは敵同士ですが、同じ目的に向かう「戦友」でもあるのです。こういう機会は人生の中でめったにありませんから、打ち解けて会話をし友人になるよう努力すべきでしょう。

 人数が減ると食事などもこちらの希望を聞いてもらえるようになります。今日はステーキ、次はスペイン料理というように楽しみましょう。逆に時間の制限がきつくなるので、観光らしいことは減ってきます。ホテルのまわりをうろついたり、ショッピングをしたりで過ごすようになります。でもクイズ会場がめったに行けない名所ですので、そこへ行けるだけでも幸せなんですよ。

 でも悲しいのは昨日まで一緒だった友が次々にいなくなること。クイズが終わったあとの別れが一番つらいのですが、自分たちの宿命と割り切って、日本での再会を楽しみにしましょう。郷心がつくと負けます。

通過クイズは勝負をかける

 ニューヨーク目前の準優勝地では通過クイズです。3ポイントとればお立ち台に行き特別のクイズを。これに正解するとニューヨークですが、残された者も阻止するべく早押しボタンに向かいます。

 まず自分がお立ち台に立ったなら、勝負をかけるべきです。仮にできなければ普通の解答席に戻って、0点から再びクイズを始めなければなりません。せっかくお立ち台へ立ったのだから全神経を問題に傾けます。福留さんもあなたに向かって問題を読んでくれますから、その分心強いはずです。特に問題のキャンセルが許されないルールの場合は、答えなくても間違っても0点ですから、わからなくてもボタンを押し、何かを口走ります。それが万一当たることだってあるのですから。

 次に敵がお立ち台にたったのなら、席が残っているならともかく、その1人で勝負が終わりになるならば絶対に阻止するべきです。問題の途中でもボタンを押しなにか答えます。間違ったらいままで蓄積したポイントが減りますが、ニューヨークへ行けるか行けないかの瀬戸際です。相手が正解したら終わりなのです。あなたがマイナス点になってもどんどん攻めるべきです。

ニューヨーク決勝戦

 憧れの決勝地、ニューヨークへやってきました。決戦前夜はなるべく早く寝るようにしましょう。遅くまで問題集に向かっても、ニューヨークは神の力を借りなければ優勝できません。静かに祈りを捧げ、長い旅の疲れを癒し、最後の英気を養うことです。

 クイズ会場へ着いたら、スタッフはなにも言わずただカメラが回っているだけです。決戦を目前とした緊張感、挑戦者の素顔を写したいからです。クイズボックスに座ると、カメラも福留さんもいつも以上に大きく見えるでしょう。福留さんもわれわれが大きく見えるはずです。福留さんも今まで以上に改まった呼び掛けをしてくれます。それが緊張感を増します。でも決戦は多少緊張感があったほうがいいのです。緊張感にうまく引っ張られてください。

 ルールは10ポイント先取の早押しクイズ。小手先の必勝法などありません。自分の今まで持っている力、根性、愛、精神力、人生。すべてを出し切らないと優勝はありません。あるのは問題だけ、問題にくらいついてください。点差が開いてもギブアップはできません。逆転の可能性はあるのです。その可能性とはあなたがあなた以上の力を出したとき、神があなたに宿るくらいに必死になってぶつかったときです。そして優勝の喜びは例えようがないはずです。

賞品授与は最後の仕事

 決勝戦が終わったら、一部のスタッフは帰国の途につきます。敗者も同じです。でもあなたは賞品をいただきに、もう一度どこかへ旅立たなくてはなりません。賞品なんてどうせたいしたことないよ、ウルトラクイズファンのあなたはもうよく御存知のはずです。でも、これはあなただけに許された最後の幸せな仕事です。うんと、楽しんでください。

 さあ、あとは帰国してゆっくり休むだけですよ。 

 

 

公共の宿

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